久々に大きなやっちまった

前回投稿した、問題の敷居です。

後からある程度カンナで削って滑らかにしたので、段差の件は一応解決したのですが、

実はそれ以前に大失敗をしていたことに今更気づきました。

引き戸の敷居というのは、糸を張ったように真っ直ぐになっていなければなりません。

また、レールとゴマが付く場合は、敷居を水平に取り付けていないと建具が低い方に勝手に動いてしまいます(ゴマの動きが良いと転がります)。

しかし今回は障子で、レールとゴマではなく、建具を滑りやすくするための樹脂製のテープを溝に貼るだけなので、敷居が水平でなくても、建具が勝手に動くことはありません。

そして、元々あった再利用の鴨居が床と同じように傾いているので、傾いたまま敷居を付けた方が建具の高さが均一で綺麗に納まります。

だからあえて敷居を水平には直しませんでしたが、何を勘違いしたか、波打った既存床のまま敷居も同じように納めてしまっておりました。

敷居が波打っていると言うことは、極端に言うと建具が山を登ったり下ったりするように傾きながら溝の上を移動します。

そうなると建て付けが合わなくなり、特に障子の枠同士が重なった時に目立つので、目も当てられません。

 

そこで敷居の溝を糸を張ったように真っ直ぐにするために、溝を専用のカンナで削ります。

今時このカンナは珍しくなりました。

溝が削れます。

この道具は以前紹介した気がしますが、自分で台を加工した特殊な溝シャクリ。

溝の隅が削れます。

ノミでも削れますが、カンナの方が台が定規になって安定して削れます。

ノミの場合、溝に必要以上に刃が食い込みすぎたり、逆目(木の繊維が逆)の場合でも、カンナの場合は「押さえ刃」のお陰で余分な食い込みを防ぎます。

しかし、今回はこのシャクリカンナの刃が切れず、砥石も忘れたのでノミで。職人失格。

レーザーでレベルを確認しながら深さを調整します。

溝が深くなってしまった分、敷居自体も削りました。

お陰で敷居はよりフラットに。

そもそも、敷居を取り付ける前に、下地の方で対処するべきことですが、注意力が足らなかった。

職人失格。

でも責任持って直しました。

でもそれはクレームを避けるためで自分のためでもありますが。汗

職人は儲からなくても良い仕事を心掛けねば。

家族を持つと、そうも言ってられないが、大切な判断かと。

「バリアフリー」の思い違い

久しぶりの更新になってしまいました。

現場が1ヶ月ほど休みなく、夜はホームページ改定に向けて取り組んだり、サボったりで、ブログが手付かず。

なのに毎日の閲覧者数は、十数名と半年前より多め。

DIY向けに投稿内容を変えたせいか、投稿していない日でも安定しています。

といっても、たったの十数人ですが。

今日は、昼休みに更新します。

先程、施主さんと私との間で、「バリアフリー」の認識の違いがあったことがわかりました。

バリアフリーといえば、床の段差がないことを意味しますが、建築業界では、バリアフリーでも、敷居とフローリングの段差を3ミリほど作ります。

完全なフラットとは限りません。

業界では3ミリまでなら「バリアフリー」と習います。

今、調べてみると、設計段階で3ミリ以下、実際の施工で5ミリ以下の段差であれば、「バリアフリー」と言えるそうです。

なぜ設計段階と実際の施工で2ミリもの誤差があるかと言うと、3ミリの予定で材料を加工し施工しても、実際はそうなるとは限らないことから、許容範囲を設けていると思割れます。

人間の考えることなので、設計通りに行かなかったり、リフォームであれば現場に合わせなければならないので、多少の融通性が必要です。

で、なぜわざわざ3ミリほどの段差をつけるのかと言うと、敷居の角を踏んだり触ったりした時に怪我をしないように、また、角が割れてささくれないように、「面取り」をします(鉋で角を斜めに削ります)。

建築の化粧材(仕上がりの見える部材)同士を合わせたり重ねたりする場合は、基本的に「面落ち」と言って、面の大きさの段差を付けます。

フラットにしてしまうと、面を取ったところが窪んでいることから隙間が空いたように見えてしまうので、それを避けて基本的には面の大きさ以上の段差を作ります。

敷居とフローリングも「面落ち」になるように3ミリの段差を付けます。

1ミリの段差でも出来ないことは無いですが、特にリフォームになると、現状に合わせなければならず、水平のレベルが悪い時は、均一な段差には出来なかったり、合わせる既存の相手が波打っている場合もあったりするので、「3ミリまでならバリアフリー」という指標で安全側(綺麗に納まる方)作業をします。

見栄え的にも、バリアフリーの定義的にも、これが一番無難な納め方なのですが、

問題は、施主さんをはじめとする一般の方の「バリアフリー」の捉え方と、建築業界での捉え方とに大きな?(3ミリの)ギャップがあることです。

今回、既存のフローリングよりも3ミリ高く新たに設けた敷居を、ダイニングチェアが踏んだり、引き摺ったりするとのこと。

その旨を敷居取り付け後に施主さんから聞いて、まさか和室の敷居にダイニングチェアが被ってくるなどと想像しておらず、

床が一段上がっている畳の間を、老後の生活を考えて今回バリアフリーにしているのだと思っておりましたが、それだけが理由ではなかったそうで、

施主さんの子供、孫達が大勢集まって1つの大きいダイニングテーブルを囲みたい、という素敵な想いがあったそうです。

段差をなくすことで、大きなダイニングテーブルに買い替え、和室側にダイニングチェアが入ってもいいように半間ほど畳をフローリングに変える、という工事だったそうで、

フローリングを貼る理由を理解していればこんなことにはなりませんでした。

今回の現調時に、納まりや工期の方に意識が向いていて、「何のために」工事をしているのか、現調の時に施主さんや元請けさんへの確認が出来ておりませんでした。

今更、接着剤で固めた敷居を取り外すことは出来ないので、上の面を鉋で出来る範囲で段差を滑らかに削ることになりました。

「何のための工事か?」は聞くようにしているつもりですが、難しい納まりや、工期や色々と言われると、ついつい忘れてしまいます。

バリアフリーの定義以上に、気をつけるべきですね。

施主さんには、何故そうなったのかを説明して、ご理解頂きましたが、次に同じような過ちが起きると、そう簡単には納得頂けないと思います。

「元請けさんから大工さんの方に説明がなかったのが問題では?」と指摘を受けましたが、

聞かなかった私にもプロとして問題ありますし、元請けさんも人間ですから、施主さんの相手をしながら私の現調の相手もし、工期や納まりや、両方から同時に聞かれると、伝え忘れも出てきます、といったフォローをしておきました。

「何のために」の共有が出来ていなかったことから、クレームに発展するという、建築あるある?でした。